猫のチャーより
「わたし、猫のチャーです。ここんちの子になって2年半。その前は森で暮らしていました。だから狩りはとても上手なの。その前は…もう昔のことです。
わたしのおうちが出来るまでは苦労しました。
なんせここんちはそらっていう犬がいて、わたしを見つけると追っかけてきそうだったもの。
それでも温かい寝床といつでも食べられるご飯は魅力的でした。やっぱりひもじい冬は辛いものね。
人を信頼するのは時間がかかりました。ご飯は欲しいけど、やっぱり怖くて「シャーッ」威嚇したわ。そんなわたしの姿を見て、パパとママは笑っていたわ。
そら姉さんはパパとママの説得があって、わたしのことを認めるようになりました。
わたしも後から来た身なのでそら姉さんの気に入らないことはしないよう心掛けました。
そうしてわたしのおうちを手に入れました。
1年前、そら姉さんが旅立って、余りにパパとママが悲しむから「大丈夫?」ってふたりの様子をよく見に行ったわ。そら姉さんに「あんた、後を頼むわよ」って言われていたしね。
静かな3ヶ月が過ぎてある日、新米の犬くうがやってきました。
静かな暮らしが気に入っていたのに、落ち着きのない犬が来て、もういやだったわ。
押し入れに逃げてふててました。
パパがくうに説得してチャーはうちの家族なんだからって。それからくうはわたしを見ても大人しくなりました。
まあ、新しい環境、最初は誰だって不安だもの。しょうがないわよね。
わたしは普段、工房の中の木箱のフカフカなベットで寝ているか、天気のいい日はデッキで日向ぼっこしているか、デッキの上の隠れ家にいるか、森の中で遊んでいます。
工房に来た人でも私の姿を見た人は数少ないと思います。いつだって私からは見えているけどね。
先月、わたしは肉体を飛び出して魂の存在になりました。
突然のことでした。
パパとママは悲しんでいるけれどわたしはおうちの周りにいます。
だから時々いい香りがするでしょう?
チャーはいい香りがするって二人はいつも嗅いでいたよねえ?
頼りないけれど、くう、後は頼んだわよ。
わたしやそら姉さんが帰ってきた時は忘れずに歓迎するのよ!
みなさん、短い間でしたがご声援ありがとうございました。
それでは一足先に失礼します。チャオ!」